「テクニカル・ダイビング」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?たくさんのシリンダーを装備して深い海へ潜るダイバー。長時間の減圧を伴うダイビング。洞窟や沈船の奥深くへ進んでいく姿。
一般的なレクリエーショナル・ダイビングとは少し離れた、“限られた人たちの世界”という印象を持っている人もいるかもしれません。しかし今、そのテクニカル・ダイビングをもっと多くのダイバーに知ってもらい、新しい選択肢として広げていこうという動きが、PADIプロフェッショナルたちの間で生まれています。
そのひとつが、2026年9月7日から11日にかけて韓国・済州島で行われた、PADI TecRecをテーマとした視察・交流です。今回、韓国、台湾、香港、アメリカから、PADI Tecインストラクター・トレーナーやコースディレクターなどが参加しました。日本からも、IRABU REEF(沖縄・宮古島/伊良部島)、Diving Lounge aqua QUEST(東京)などからPADIプロフェッショナルが参加しています。
期間中は、済州島でのボートダイビングをはじめ、テクニカル・ダイビングに関するセミナーやミーティングを実施。実際に同じ海を潜りながら、それぞれの地域のダイブサイトやトレーニング環境、TecRecへの取り組みについて意見を交わしました。
済州島には、今回プログラムを運営したMobydick Dive Centreをはじめ、TecRecのトレーニングやダイビングに対応する環境があります。参加者にとって、普段活動する地域とは異なる環境で実際に潜り、現地でTecRecがどのように行われているのかを知る機会にもなりました。
そしてミーティングで大きなテーマとなったのが、TecRecをもっと多くのダイバーに知ってもらい、興味を持った人が次のステップへ進みやすい環境をどう作っていくかということ。TecRecプログラムをよりわかりやすく伝える方法や、Tec Basicsを入口としたステップアップ、CCRやCave Divingなど、さらに先のトレーニングにつなげていく方法についても話し合われました。


TecRecを、もっと身近な選択肢へ
日本でもテクニカル・ダイビングを楽しんでいるダイバー、トレーニングを提供しているPADIプロフェッショナルはいます。一方で、多くのレクリエーショナル・ダイバーにとっては、テクニカル・ダイビングはまだ少し遠い存在かもしれません。
「経験豊富な一部のダイバーがするもの」「特別な器材を使って深く潜るもの」といったイメージが先に立ち、どんなダイビングなのか、どこから始められるのかを知る機会も、決して多くはありません。
けれど、テクニカル・ダイビングも、今楽しんでいるレクリエーショナル・ダイビングの延長線上にあります。ダイビングを続けていく中で、「もっとスキルを高めたい」「もっと深い場所を見てみたい」「これまで行けなかった場所を探索してみたい」と興味が広がっていく。その先にある選択肢のひとつが、TecRecです。
TecRecも、一歩ずつステップアップ
PADI TecRecも、レクリエーショナル・ダイビングと同じように、経験や目標に合わせて段階的にステップアップできるようプログラムが組まれています。オープン・ウォーター・ダイバーからアドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバーへ進み、少しずつできることや楽しめるダイビングの幅を広げていくように、TecRecでも必要な知識やスキルを一つずつ身につけながら、その先のダイビングへ進んでいきます。
その入口のひとつが「PADI Tec Basics」。テクニカル・ダイビングで使われる器材や基本的なスキルを学び、TecRecの世界に触れることができます。そこから、より深いダイビングや減圧を伴うダイビング、CCR(クローズド・サーキット・リブリーザー)など、自分が目指したいダイビングに合わせてステップを重ねていきます。
TecRecは、レクリエーショナル・ダイビングとはまったく別の世界へ突然飛び込むものではありません。これまで身につけてきたダイビングの知識やスキルを土台に、その先へ少しずつ活動の幅を広げていくことができます。

TecRecをもっと多くのダイバーに知ってもらうためには、プログラムを紹介するだけでなく、興味を持ったときに実際に学び、経験できる機会を増やしていくことも大切です。今回の済州島での交流は、各国のPADIプロフェッショナルがそうしたTecRecの可能性をあらためて共有し、それぞれの地域でより多くのダイバーへ伝えていくための一歩となりました。
テクニカル・ダイビングを目指すすべての人が、同じゴールを目指すわけではありません。もっとスキルを磨きたい人、より深い場所へ行ってみたい人、これまでとは違う方法で水中世界を探索してみたい人。それぞれの興味や目標の先に、TecRecという選択肢があります。
PADIとPADIプロフェッショナルは、TecRecを含め、ダイバー一人ひとりの興味や目標に合わせて、海を楽しみ、学び、活動し続けるための選択肢を、これからも広げていきます。