海の中から引き上げられたのは、釣り具や空き瓶だけではありません。そこには、大きなリヤカーもありました。
2026年6月12日(金)、神奈川県三浦市・城ヶ島で開催した「SEIKO × PADI Marine Debris プログラム」では、約200キロもの海洋ごみを水中から回収しました。普段は見えにくい海の中の現実に向き合いながら、海をきれいにし、未来の命が育つ場所をつくる一日となりました。
今回で6年目・7回目を迎えた本プログラムには、セイコーウオッチ株式会社から25名が参加。水中清掃と海洋ごみデータの記録を行なう「Dive Against Debris」に加え、アオリイカの産卵床づくりも実施しました。
海を楽しむ人、海で働く人、海を未来へつなぎたい人。それぞれの想いが城ヶ島に集まり、ダイバーだからこそできる海洋保全のかたちを考える機会となりました。
10年続く、SEIKOとPADIの海への想い
SEIKOとPADIの協力による海洋保全活動は、今年で10年という節目を迎えます。
時計を通じて海への想いを届けるSEIKOと、ダイバーとともに海洋環境保全を推進するPADI。
両者の取り組みは、海を愛する人たちの行動を後押ししてきました。
SEIKOは、ダイバーズウオッチの活躍の場である海を守るため、「Save the Ocean」などの取り組みを通じて、PADIおよびPADI AWARE 財団の海洋保全活動を継続的に支援しています。今回の城ヶ島での活動も、その歩みのひとつです。

また、2026年には「セイコー プロスペックス PADI 60周年記念限定モデル」も発売され、海を愛する人々とのつながりをさらに広げています。
その節目の年に、活動の舞台となったのが神奈川県・三浦半島の先端に位置する城ヶ島です。
豊かな自然が残るこの海で、参加者は海の魅力と課題の両方に向き合いました。
豊かな海が広がる、城ヶ島というフィールド
今回の活動に協力いただいたのは「城ヶ島ダイビングセンター」。三浦半島の南端に浮かぶ城ヶ島は、東京湾と相模湾が交わる場所に位置し、豊かな生態系が広がる人気のダイビングエリアとして知られています。
潮の流れに恵まれた海中では、季節ごとにさまざまな生き物が姿を見せます。ダイバーにとって魅力あふれる海である一方、多くの人に親しまれてきた場所だからこそ、環境を守り続ける取り組みも欠かせません。
海の変化にいち早く気づけるダイバーは、海を楽しむだけでなく、海の現状を伝える大切な存在でもあります。今回のプログラムでは、城ヶ島の海をより深く知り、未来へ残していくための活動が行われました。
参加者は、目の前に広がる美しい海と、その水面下にある課題の両方を見つめることになりました。



約200キロのごみが語る、海の中の現実
SEIKOとPADIは、「Marine Debrisプログラム」を通じて海洋保全活動に取り組んでいます。今回も陸上と水中の両方で清掃活動を実施。
城ヶ島ダイビングセンターとPADIジャパンのダイバーが水中清掃を行なっている一方で、SEIKOの皆さんはチームに分かれ、城ヶ島灯台周辺の岩場から砂浜まで約1時間にわたってビーチクリーンを行ないました。
一見すると美しい景観が広がる城ヶ島ですが、回収されたのは、たばこの吸い殻やプラスチック容器、包装ごみなど、日常生活から流れ着いたごみ。その総重量は15.5キロに及びました。
海を守るためには、水中だけでなく陸上からの取り組みも欠かせません。参加者一人ひとりが、海洋ごみ問題を「自分ごと」として考える貴重な機会となりました。




ダイバーが海底のごみを回収し、その種類や量を記録することで、世界の海洋ごみデータに貢献する取り組みのPADI AWAREの世界的な市民科学プログラム「Dive Against Debris(ダイブ・アゲインスト・デブリ)」。海に潜る楽しさと、海を守る行動がひとつにつながる、 PADIらしい海洋保全活動でもあります。
当日は城ヶ島ダイビングセンターとPADIジャパンのスタッフが水中へ入り、桟橋周辺を中心に清掃活動を実施。陸上ではSEIKO社員の参加者が、ダイバーから引き上げられたごみを受け取り、種類ごとに分別していきました。
この日、水中から回収されたごみは、約200キロ。釣り具や空き瓶に加え、海底からは大きなリヤカーも引き上げられました。ふだん水面からは見えないものが次々と姿を現す光景は、海洋ごみの問題をより身近に感じさせるものでした。
海のごみは、海辺に暮らす人だけの問題ではありません。山や街、川辺などの陸上で出たごみが川を通じて海へ流れ着くこともあり、私たちの日常ともつながっています。
目に見えにくい海の中の現状に向き合うことは、「海をきれいにする」という行動を、特別な誰かの活動ではなく、身近なこととして考えるきっかけになります。






ごみを拾うだけでは終わらない。
海の森をつくる ― 藻場を守り、アオリイカの命を育む産卵床づくり
今回初めて実施した特別プログラムが、「アオリイカ産卵床づくり」。
近年、海藻が姿を消し、海底がまるで砂漠のようになってしまう「磯焼け」が全国各地で深刻化しています。城ヶ島周辺でも藻場の減少により、魚たちが産卵・成長する環境が失われ、漁業にも影響が及んでいます。そこで、海藻を食べるアイゴの天敵であるアオリイカを増やし、豊かな海を取り戻そうと、産卵床を設置する取り組みが行なわれています。
アオリイカには、海中にある木の枝などに卵を産み付ける習性があります。
そこで今回は、間伐材として伐採された樫の木を利用し、参加者自身がロープで束ねて産卵床を作成。手元で枝を束ねる作業は、海の生き物の暮らしを支える場所を自分たちでつくっていることを実感させる時間でもありました。
完成した6基の産卵床は、ダイバーによって城ヶ島の海中、水深約10メートルのポイントへ設置されました。
これは、単に海をきれいにする活動ではありません。海の生き物が暮らし、次の世代へ命をつないでいく場所をつくる取り組みです。
「ごみを減らす」だけでなく、「命を育む環境をつくる」。
海を守ることは、失われたものを取り戻すだけでなく、新しい命が育つ場所を支えることでもあります。
参加者にとっても、海洋保全をより広い視点で考える機会となりました。






地域、ダイバー、企業が語る、海を守るということ
イベントの最後には、城ヶ島ダイビングセンターのスタッフや三和漁業協同組合の方々によるトークセッションも開催されました。
ダイバーから見た海の変化、漁業者が感じる環境の変化、そしてこれからの海をどう守っていくのか。それぞれの立場から語られるリアルな声に、参加者は真剣に耳を傾けました。
海を守るために必要なのは、ひとつの答えではありません。ダイバー、地域、企業、そして一人ひとりの行動がつながることで、持続可能な海づくりへの道が開かれていきます。



未来の海へ、今日からできる一歩を
セイコーウオッチは、SDGs活動のひとつとしてPADI AWARE 財団と協業しながら、海洋保全活動を世界各国で実施しています。PADIジャパンによる日本国内での活動は2021年からスタートし、今回で6年目を迎えました。
これからもSEIKOとPADIは、Marine Debris プログラムを通じた海洋保全活動を継続し、自然環境の維持や地域活性化への貢献など、サステナビリティへの理解を深める機会を広げていきます。
海を守る一歩は、特別な人だけのものではありません。
ビーチでごみを拾うこと、使い捨てプラスチックを減らすこと、そしてダイバーとして海の中の変化に目を向けること。
その一つひとつが、未来の海につながっていきます。
次に海へ行くとき、足元のごみをひとつ拾う。ダイビング中に海の変化に気づく。
そんな小さな行動も、海を守る大きな一歩になります。
美しい海を、次の世代へ ―― SEIKOとPADIは、これからもダイバーとともに海の未来を守る活動を続けていきます。
現地協力:
城ヶ島ダイビングセンター
・高橋洋平氏
・高橋真樹子氏
三和漁業協同組合城ヶ島支所長 石橋英樹氏




