ダイビングは、神秘的な水中世界に身を置き、地上では味わえない体験ができる魅力的なアクティビティ。しかし、水中では地上とは異なるリスクが存在ことを忘れてはなりません。適切な安全管理ができているかどうかが、ダイビングを存分に楽しむための大切なポイントです。
初めてダイビングを経験する方から経験豊富なダイバーまで、誰もが安全管理スキルを見直し、自己の準備や知識に磨きをかけることが求められます。また、自分自身の限界を知り、余裕を持ったダイビングプランを立てることが大切。迷ったときはより安全なほうを選びましょう。このブログでは、安全なダイビングのために重要なポイントを10こご紹介します。ダイビングを安全に、そしてより楽しく続けられるよう、一緒に確認してみましょう!
安全ダイビングのためのポイント10
1.ダイビングは万全の体調で
せっかくのダイビング、少しくらい体調が悪くても潜りたい気持ちはわかりますが、万全の体調でないときはダイビングを中止しましょう。体調が万全でない状態で潜ると、トラブルが発生しやすくなり、安全リスクも増してしまいます。持病がある場合はもちろん、普段は健康な人でも、例えば、軽い風邪や疲れが残っているだけでも、耳抜きが難しくなったりと、通常では問題ない場面で予期せぬ困難に直面することがあります。
当日の体調が下のチェックリストにあてはまる人は、ダイビングを避けるべき。ダイビングの前には、自分の体調をしっかり確認し、少しでも違和感がある場合は無理をせずに休息をとる勇気も必要です。充分な水分補給と十分な睡眠、そしてストレスのないコンディションを整えることで、安全で快適なダイビングを楽しむことができるでしょう。
◆当日のダイビング前のセルフチェック
ダイビングをする直前にチェックし、回答の右側にひとつでも○がついた場合は、ダイビングを避けて休養をとってください
1 | 前回のダイビングの疲労感や体のだるさは残っていませんか? | ない | ある |
2 | 12時間以内に飲酒された方は飲酒による体調不良などはありませんか? | ない | ある |
3 | 昨夜の睡眠は十分でしたか? | 十分 | 不十分 |
4 | 食欲はありますか? | ある | ない |
5 | 下痢や脱水などの症状はありませんか? | ない | ある |
6 | 手足のしびれや身体のどこかに痛みなどはありませんか? | ない | ある |
7 | めまいはありませんか? | ない | ある |
8 | 発熱の症状はありませんか? | ない | ある |
9 | 耳やサイナスに閉塞感はありませんか、耳抜きはできますか? | ない | ある |
10 | ダイビングをする意欲は十分にありますか? | ある | ない |
2.ダイビングに必要な知識とスキルがきちんと身についているか
Cカードを取得するためのオープン・ウォーター・ダイバー・コースには、ダイビングに必須の38スキルの習得など、安全にダイビングを楽しむために最低限必要な知識とスキルがぎっしりと詰まっています。逆にいえば、ここできちんと知識・スキルが身についていないと、ダイビングの安全性に大きな問題が生じるということ。自分が納得いくまで、しっかりと受講することがおすすめ。もし不安がある場合は、インストラクターに相談して、苦手なスキルの克服に努めましょう。
自分の知識やスキルに不安がある場合は、定期的にリフレッシュコースを受講したり、スキルを確認するためのトレーニングを行うのも良いでしょう。特に、新しいダイビングエリアに挑戦する際や、ブランクがある場合には、あらためてスキルを見直しておくことが大切です。ダイビングに必要な知識とスキルをしっかりと習得し、安全に自信を持って潜れるダイバーを目指しましょう。
3.万が一のトラブルの対処法を身につけておこう
どんなに安全に気を配っていても、ダイビング中にトラブルが起こることはあります。そんなとき、慌てることなくスムーズに対処できれば、重大なトラブルに発展するのを未然に防ぐことができます。トラブル対処のスキルは、オープン・ウォーター・ダイバー・コースでも基本的なことは教わりますが、EFR(エマージェンシー・ファースト・レスポンス)やレスキュー・ダイバー・コースを受講すれば、さらに安全にダイビングを楽しむための知識やスキルを身に付けることができます。海は素晴らしい場所ですが、そこに潜むリスクを知り、対策を身につけることで、より安全で楽しいダイビング体験が実現します。
4.日頃の体調管理も重要なポイント
ダイビング当日に万全の体調で楽しむためには、日頃の体調管理も大切。ダイビングは体力と集中力を要するスポーツであり、少しの体調不良や疲労がトラブルの原因になりかねません。日々の生活習慣や体調管理が、海中でのパフォーマンスや安全性にも直接影響を与えます。
まず、バランスの良い食事と十分な睡眠、そして定期的な運動を心がけることで、免疫力を高め、体調を整えましょう。病気やケガがある場合は、しっかりと治すこと。不安がある場合は、ダイビングに詳しい医師の診察を受けるなどして、ダイビングをするにあたっての不安を取り除いておくことがおすすめです。
★ 「ダイバー検診」の受診もおすすめ
ダイビングを続ける上で、定期的な「ダイバー検診」を受けることは非常に有効です。ダイビングに詳しい医師による「ダイバー検診」では、耳や肺、循環器系など、ダイビング中に特に負担がかかりやすい部位や機能を重点的にチェックするもので、「ダイビングをするうえで問題ないか」という視点で診断してもらうことができます。
検診を受けることで、自分では気づきにくい健康リスクや、ダイビングに影響を与える可能性のある体の変化を早期に発見できます。また、年齢やダイビング頻度に応じた体力や健康状態の確認もできるため、ダイビングの安全性が向上し、トラブル予防にもつながります。
ぜひ、年に一度は「ダイバー検診」を受け、安心してダイビングを楽しめるよう準備しておきましょう。
5.疑問や不安があれば、スタッフに相談を
ダイビングをより安全に楽しむためには、疑問や不安をそのままにせず、気軽にスタッフに相談することが大切です。初めてのポイントや新しい器材の使用方法、コンディションについてなど、些細に思えることでも聞いてみることで、安心感が増し、より安全にダイビングに臨むことができます。
プロフェッショナルなインストラクターやスタッフは、経験や知識を持っているだけでなく、ダイバーの疑問や不安に応えるために現場でサポートしています。万が一のトラブル時も、事前にアドバイスをもらっておくと冷静に対処できるため、トラブルを最小限に抑えることができるでしょう。インストラクターやスタッフに、自分が疑問・不安に感じていることを伝えて、それらを解消しておきましょう。
6.ブリーフィングで海況などをしっかり確認
ダイビング前に行なうブリーフィングも、安全にダイビングを楽しむうえで重要なポイント。単に海の中の見どころを確認するだけでなく、当日の海況や潮流、水温、エントリーやエキジットのポイント、海中環境、最大深度や潜水時間などの計画、万が一のトラブルの際の対処法などの情報が詳しく説明されます。これらをしっかり確認しておくことで、潜水中に何を注意すべきか、どのような行動が必要かを理解し、余裕を持ってダイビングに臨むことができます。ブリーフィングを通じてその日のコンディションを正しく理解し、リラックスしてダイビングを楽しみましょう。
7.バディと一緒に計画内でのダイビングを
事前にしっかりとダイブ計画を立て、バディと確認し合うことで、トラブルを未然に防ぎ、安全にダイビングを楽しむことができます。特に、エアの消費量や体力の個人差を考慮し、無理のないスケジュールを組むことが大切です。予定していた深度や時間など計画内でのダイビングを行い、お互いにダイブコンピューターや残圧計をこまめにチェックし合いましょう。
シリンダー内の空気が、ブリーフィングの際に決めておいた量になったら、バディに知らせてダイビングを終了します。日本ではファンダイビングの際、インストラクターやガイドが引率することが多いのですが、あくまでバディが第一。ダイビング中は常にバディとコンタクトをとることを意識しましょう。
8.セーフティグッズを携帯しておこう
ダイビング中には、予測していない潮の流れに巻き込まれたり、予定していたコースを外れてしまうことにより、漂流する可能性があります。そのような際に自分の位置を知らせいち早く発見されやすくするために、シグナルフロート(SMB)やホイッスル、ミラー、海面着色剤などが有効です。グループのリーダーだけでなく、全員が持つようにしましょう。
また、ナイフやカッターは、万が一水中で網やラインに絡まれた際に素早く脱出するために役立ちます。
特に、初めての場所や流れの強いポイントでは、セーフティグッズを使う場面が増える可能性があるため、忘れずに持参することが安心です。
9.危険性のある生物を認識しておくこと
ダイビングで海の生物と接する際のルールは「触らない、追いかけない、脅かさない」。これを守っている限り、水中生物のほうから襲ってくることはまずありません。しかし、何かの拍子に触れてしまう可能性もないとはいえません。ダイビング前にブリーフィングや現地のガイドから、遭遇する可能性のある危険生物についての情報をよく聞いておきましょう。事前に知識を持ち、冷静に対処することで、危険生物から自分を守り、安全なダイビングを楽しむことができます。
10.暑さ、寒さの対策もお忘れなく
オープン・ウォーター・ダイバー・コースでも学習しますが、暑さ・寒さは体調に影響を与え、ダイビング中の安全性にもかかわってきます。特に気温が高い夏場に気をつけたいのが、熱中症や熱射病。こまめに水分を取り、なるべく直射日光が当たる場所は避けて、スーツは潜る直前に身に着けるようにしましょう。ただし、どんなに水温が高い場所でも、水中では熱が奪われやすいため、自分に合ったスーツの厚さやインナーを選ぶことも大切です。頭から失われる熱は、全体の体温喪失の75%にも相当するといわれています。スーツはもちろん、水温の低い場所ではフードを着用するなど防寒対策をしっかりとって、快適にダイビングをするための工夫をしましょう。
万が一に備えて、ダイバー保険にも加入しておきましょう!
どんなに安全に気を配っていても、事故を100%防ぐことはできません。万が一の事態に備えて、ケガなどを補償してくれる保険に入っておくことをおすすめします。ダイビング中の事故や怪我は予測できないことが多く、特に水中では迅速な医療対応が求められる場合があります。ダイバー保険に加入しておくことで、治療費や救助費用、ダイビングにかかわる部分の補償が厚くアレンジされており、安心してダイビングを楽しむことができます。 PADIの「PADIダイバーズ保険」は、傷害保険を基本に、器材が盗難にあった場合に補償される「携行品損害」も含まれています。安全にダイビングを楽しむためには、事前の準備が欠かせません。ぜひ、ダイバー保険への加入を検討し、安心して海の世界を満喫しましょう!