次の旅行で、冒険も楽しみながら海を守ることにも貢献したいなら、エコ・トラベル(サステナブルな旅)を選んでみてはいかがでしょうか。海洋保護を活動の中心に据えている PADIダイブセンターやリゾート、例えば PADI Eco Center™ のような施設を選んだり、サステナブルツーリズムを積極的に推進している地域へ旅行したりすることは、あなたが望む海の未来に一票を投じることにもつながります。

インドネシア ― エコダイビングの世界的ベンチマーク
美しい自然と、滞在のあらゆる面でサステナビリティを意識した旅先を探しているなら、インドネシアは世界でもトップクラスのエコダイビングエリアです。環境への影響を最小限に抑えながら、海を再生していく取り組みが進むこの国は、リジェネラティブ(再生型)ダイビングの先進地ともいえる存在です。
例えば、ヌサペニダ周辺では、サンゴ礁の回復を目的としたプロジェクトが進められており、ダイビングを通じて海洋保護の活動を支える取り組みも行われています。地域コミュニティと協力しながら、サンゴの再生や海洋保護区の管理が進められているのも特徴です。
また、ブナケンの海域では、地元コミュニティや環境団体と連携したごみ削減活動など、持続可能な観光を目指す取り組みが行われています。豊かな海の生態系とともに、地域に根ざしたエコツーリズムの考え方が広がっています。
さらに東に位置するラジャ・アンパットは、世界有数の海洋生物多様性を誇るエリア。密林からマングローブ、そして色鮮やかなサンゴ礁へと続く自然環境の中で、環境保護と観光のバランスを大切にしたダイビングが体験できます。
インドネシアの多くのダイビングエリアでは、海を楽しむことがそのまま海を守る活動につながるような取り組みが広がっています。

パラオ ― 国全体で海洋保護に取り組むダイビング先進国
パラオでは、責任ある旅行は単なる観光のキャッチコピーではありません。国の価値観そのものとして根づいています。その象徴ともいえるのが、入国時に訪問者が署名する「パラオ・プレッジ」。これは、旅行者一人ひとりが単なる観光客ではなく、島と海を守る“守り手”として行動することを約束するものです。
この理念は、実際の政策にも反映されています。例えば「Palau Sustainable Tourism Strategy 2025–2028」のような取り組みを通じて、パラオは観光の発展を長期的な視点で計画し、環境への影響を考慮した観光管理を進めています。
もちろん、その考え方は海の中にも表れています。ダイビングでは数をこなすことよりも質を重視した体験が一般的。ガイド付きのドリフトダイブ、適切なリーフフックの使用、丁寧なブリーフィング、野生生物への配慮など、環境と安全を大切にしたダイビングスタイルが広く定着しています。
その結果、パラオには自然を尊重しながらダイビングを楽しみたい人たちが集まる文化が育まれています。

マレーシア ― 許可制で守られるダイビングパラダイス
マレーシアは、環境に配慮したダイビング文化が根づく国として知られています。国内には15のPADI Eco Centerがあり、これはインドネシアに次いで世界で2番目に多い数です。また、海洋観光の環境負荷を減らすことを目的としたプログラムGreen Finsの活動拠点のひとつでもあります。
中でも有名なのが、世界屈指のダイビングスポットとして知られるシパダン。ここでは、サバ州の公園管理機関によって入域許可制度(パーミット制)が導入されており、1日に潜れるダイバーの数が厳しく制限されています。
その考え方はとてもシンプルです。海に入るダイバーの数を管理することで、この特別な海を守るというものです。その結果、シパダンでは今もなお、健康なサンゴ礁、群れをなす魚たち、そしてダイナミックな潮流が生み出す迫力あるダイビングを体験することができます。
海の魅力を存分に楽しみながら、同時にその環境を守る。そんなバランスを大切にしているダイビングエリアです。

モルディブ ― 美しい海と保護活動が共存するダイビングエリア
洗練されたリゾートで知られるモルディブですが、その美しい海は海洋保護の取り組みによって守られています。国レベルの取り組みとして、サンゴ礁や海草(シーグラス)、マンタやウミガメなどの保護が進められ、研究や責任ある観光の推進が行われています。
例えば、#SeagrassIndustryLeadersのようなキャンペーンでは、二酸化炭素を吸収・貯蔵する重要な役割を持つ海草の保護が呼びかけられています。また、Atoll Marine Centreなどの団体は、地域での海洋研究や教育活動を通じて海の理解を深める取り組みを進めています。
モルディブでは、ダイビングと海洋保護を結びつける取り組みも広がっています。海洋生物の研究を取り入れたダイビングプログラムや、海洋ごみの回収、地域の若者をダイバーとして育成する活動など、さまざまな形で海の保全に貢献するプロジェクトが行われています。
また、モルディブといえばラグジュアリーリゾートのイメージが強いですが、近年では地元運営のゲストハウスなど、より地域文化を感じながら滞在できる選択肢も増えています。
美しい海を楽しみながら、その環境を守る取り組みにも触れられるモルディブは、ラグジュアリーとサステナビリティが共存するダイビングエリアです。

ヨルダン ― 意外なエコ・ダイビングのフロンティア
ヨルダンはこのリストに登場するような典型的なエコダイビング先というわけではありません。国全体として、海洋保護の文化はまだ発展の途中にあります。
しかし実は、ヨルダンの海洋保護の取り組みには長い歴史があります。1993年には、同国で初期の女性ダイバーの一人でもあるプリンセス・バスマ・ビント・アリを中心に、環境意識の高いダイバーたちによってRoyal Marine Conservation Society of Jordanが設立されました。
そして現在では、少数ながらも情熱的なPADI Eco Centerが、持続可能なダイビングの新しい可能性を示しています。これらのダイブセンターは、サンゴ礁への影響を減らすための運営改善や、海洋生態系の回復につながる活動に取り組んでいます。
また、これらのダイブサイトの中には、Adopt the Blue™のネットワークに参加している場所もあります。そこではダイバーが市民科学の一員として活動し、PADI AWAREの「Dive Against Debris®」データベースに海洋ごみの情報を提供することができます。
つまり、ここでのダイビングは単なる体験にとどまりません。海の現状を知り、未来を守るためのデータを集める活動にもつながっているのです。

モザンビーク ― 巨大海洋生物と出会う“スロートラベル”の海
マンタやザトウクジラなど、海の巨大生物(メガファウナ)に出会いながら、その保護にも関わりたい――そんなダイバーにおすすめなのがモザンビークです。
2003年からは、Marine Megafauna Foundationが南部沿岸、とくにインハンバネ州周辺で海洋生物の調査と保護活動を続けています。海洋保護区の設立や持続可能な漁業の推進など、地域の生態系を守るための取り組みが進められています。
このエリアでは、ダイビングと海洋保護を結びつけた活動も行われています。海洋生物について学べるプログラムや、野生生物との距離を大切にしたダイビング体験など、海の環境を守りながら楽しむダイビングが広がっています。
また、モザンビークの魅力は海だけではありません。広大なビーチ、自然に囲まれた小規模なロッジ、そしてゆったりと流れる時間。ここでは近年、「スロートラベル」と呼ばれる旅のスタイル――時間をかけて、その土地の自然や文化を深く味わう旅が注目されています。
モザンビークは、ダイビングだけでなく、自然や文化とゆっくり向き合う旅を楽しめる場所でもあるのです。

フロリダ・キーズ ― アメリカ屈指のサンゴ保護エリア
フロリダ・キーズは、海洋保護の取り組みが長く続いている地域として知られています。その歴史は1970年代までさかのぼり、早くから自然環境を守る活動が行われてきました。
1990年にはフロリダ・キーズ国立海洋保護区が設立され、現在では約3,000平方海里(約10,000平方キロメートル)におよぶ広大な海域が保護されています。ここには北米で唯一の生きたバリアリーフ(サンゴ礁)や広大な海草の草原など、多様な海洋生態系が広がっています。
この地域では、ダイビングを通じて海洋保護に関わる取り組みも活発です。海洋ごみの回収や市民科学プロジェクト、環境に配慮したダイビングの普及など、ダイバーが海を守る活動に参加できる機会が数多くあります。

ボネール ― ショアダイビングと海洋保護が共存する島
カリブ海に浮かぶボネールは、ダイバーにとって理想的な環境で知られています。島の大きな特徴は、ボートを使わなくても気軽に海へ入れるショアダイビング。ビーチや岸から直接エントリーできるため、混雑を避けながらゆったりとダイビングを楽しむことができます。
また、ボネールは海洋保護への取り組みが長く続いている島でもあります。海の管理は長年にわたりSTINAPA(ボネール自然保護財団)とボネール国立海洋公園によって行われ、係留ブイの設置、保護ルールの徹底、入域料の導入など、サンゴ礁を守るための仕組みが整えられています。こうした収益は、そのままリーフ保護や管理活動に活用されています。
さらにボネールは、アメリカ大陸でいち早くGreen Finsを導入した地域のひとつでもあり、環境への影響を抑えたダイビングのモデルケースとして知られています。
海の未来は、私たちの選択から
ダイビングの未来、そして海の未来は、私たちが今日どんな選択をするかにかかっています。エコトラベルは、快適さや冒険をあきらめる旅ではありません。海を探検する楽しさと、環境を守る行動を両立させる旅です。
PADI Eco Centerを選んだり、持続可能な観光を大切にする地域を訪れたり、あるいは Dive Against Debris のような市民科学プロジェクトに参加したり。そうした選択は、単なる旅行の計画にとどまりません。それは、サンゴ礁の回復を後押しし、地域コミュニティを支え、未来のダイバーたちのために海の生きものを守る行動につながっています。
次の旅では、ぜひ海を楽しみながら、その未来を守るダイビングを体験してみてください。PADIコースでダイビングを始めれば、あなたも海を守るダイバーの一員です。