私たちPADI®がその歴史を称え、今と未来の世代に恩返しをするために最も重要な方法の一つは、責任ある運営を行い、持続可能なダイビング産業を支え、すべての生命が依存する海を守ることです。
この想いを体現するのが、PADI変化のための柱です。これは、PADIブランドの中核となる価値観と、「人類と海のバランスの取れた共存・共栄を目指す」という私たちのコミットメントを示すものです。海洋が直面する課題に対して行動を起こすためには、地域コミュニティとの連携を通じて、現場で積極的に取り組むことが不可欠です。それこそが、人と自然のバランスを取り戻すための鍵なのです。
柱1 – 海洋環境保護
私たちのコミュニティが、世界に影響を与えるような海洋保護活動を行う

PADIのロゴに描かれたダイバーと、「水中世界を守る」という私たちの理念にインスピレーションを得て、PADI トーチベアラー(海洋保護の志を持つ者)コミュニティを立ち上げました。海を愛し、守りたいという思いを持つ世界中のダイバーや一般の人々をつなぎ、海のために地上と水中の両方で集団的な行動を起こすための取り組みです。私たちのミッションは、海を探求し、そして守っていくために、10億人のトーチベアラー を作ることです。
私たちは、海洋保全の主要パートナーであるPADI AWARE Foundationとともに、生息地の破壊、気候変動、海洋ゴミといった海の脅威に積極的に立ち向かい、環境危機への対応を進めています。このパートナーシップにより、PADIの海洋における5つの行動指針が策定され、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」における「SDG14:海の豊かさを守ろう」の実現に向けた「行動の10年」に呼応した取り組みを進めています。
これらの重要な保全目標を達成するために、PADIは世界最大規模のネットワークであるダイブセンター、リゾート、プロフェッショナル、そしてダイバーたちを結集し、それぞれの地域でPADIトーチベアラーとして具体的なアクションを起こしていきます。地域での行動を、地球規模のインパクトへとつなげていくのです。
柱2 – 産業分野のサステナビリティ
ダイビング業界の二酸化炭素排出量を削減・相殺

ダイビングは、世界で最も規模が大きく、かつ急速に成長しているレクリエーション活動のひとつです。私たちは、沿岸・海洋資源の適切な利用と楽しみ方が、沿岸地域に暮らす何百万人もの人々の生計にとって不可欠であることを認識しています。レクリエーショナル・ダイビングやダイブ・ツーリズムは、世界中の多くの地域で地域経済の重要な柱となっており、PADIはダイビング業界における最大かつ最も影響力のある組織として、責任あるダイブ・エコノミーを育む特別な立場にあります。ダイバーや旅するダイバーたちに対して海を意識したライフスタイルを啓発し、ダイビングセンター・リゾートが環境に配慮した持続可能な運営を実現できるよう支援することで、人と地球が調和して共存できる産業モデルとして、ダイビング業界を発展させていきます。
PADIのネットワークは、世界中に13万8,000人のダイブプロフェッショナルと、6,600以上のPADIダイブセンター・リゾートを擁しています。
私たちは今後さらにネットワークを拡大しつつ、自組織の環境負荷を削減し、業界全体がより持続可能で海と調和した運営ができるよう、最良の保全ツールや教育リソースへのアクセスを提供し続けていきます。
ダイビング旅行、マリン・ツーリズム、ダイバー、ダイブセンター・リゾートを含むダイビング産業全体の事業者が協力し合えば、より持続可能な未来を築くことを信じています。廃棄物や使い捨てプラスチックの削減、そしてカーボンフットプリントの削減・相殺といった行動を通じて、私たちは最も持続可能なダイビング産業の構築を目指し、ダイバーとショップ双方の環境負荷低減を支援するプログラムや機会を創出とサポートしています。
Green Fins(グリーン・フィンズ)とのパートナーシップ
PADIは2018年から、国連環境計画(UNEP)とリーフ・ワールド財団(The Reef-World Foundation)の協力によって開発されたGreen Finsと提携し、「人」「地球」「利益」の三つの調和を世界的な業界として実現できる可能性を、ダイビング・コミュニティを通して示してきました。
Green Finsは、観光業がサンゴ礁に与える直接的と間接的な負荷を削減することで、サンゴがより健康で気候変動などのストレスにも強くなれるよう支援しています。この取り組みを通じて、PADIはより多くのダイブセンターやリゾートが環境に優しい運営方針を導入できるようサポートし、海洋保全とビジネスの両立を目指しています。
柱3 – 人と人間性
ダイビング業界における多様性と包括性を育み、地域社会をサポート

ダイビングの多様性と包括性(インクルージョン)は、私たちPADIが心から称え、大切にしている価値です。PADIは設立当初から、「すべての人に海を開かれた存在にするべきだ」という信念を掲げてきました。「水中ではみんな同じ言語を話す」という共通認識のもと、私たちはダイビング業界全体で開かれた環境を築いていくことを目指しています。人と海のバランスある関係を築くというビジョンを本物のものにするためには、私たちの行動がもたらす社会的・環境的影響の両方に向き合う必要があります。そのためPADIは、業界における継続的な多様性と包括性の推進、そしてすべての人が海とダイビングの力に触れられる新たな道を開いていくことに、これからも取り組んでいきます。
AmbassaDiver
PADI AmbassaDiverプログラムは、ダイビングの多様性を体現する世界中の人々に光を当て、そのストーリーを通じて他の人々にインスピレーションを与える存在です。彼らは地域社会やグローバルな場面でダイビングの魅力を伝え、人々が夢や情熱を追い、冒険や海洋保全に踏み出すきっかけを与えています。AmbassaDiverはまさにトーチベアラーの姿そのものであり、海の探求と保護に尽力する存在です。
コミュニティー助成プログラム
地域との連携をより強化するために、PADI AWARE Foundationは2021年に「コミュニティー助成プログラム」を開始しました。これは、PADIダイブセンターやリゾートが地域の海洋保全活動を行うために、必要な資金支援を提供するものです。海を守るには、地域レベルで何千もの行動が必要です。この助成金はPADIの保全活動の中核となり、国連の「行動の10年」に呼応したグローバルな政策目標の達成にも貢献します。
Women’s Dive Day
2014年、PADIは初のWomen’s Dive Dayを開催しました。今では世界最大級の1日限りのダイビングイベントとして定着し、これまでにたくさんのイベントが世界各地で開催されてきました。多くの女性がこの日をきっかけにダイビングを始め、ジェンダーギャップの解消と、より多くの人が海を探検できる環境づくりに貢献しています。
アダプティブ・ダイビング・テクニック
PADIは設立当初から、すべての人に開かれた教育方針を掲げており、要件を満たす人なら誰でもダイバーになることができます。世界保健機関(WHO)によると、世界には何らかの障がいを持つ人が約10億人いるとされています。PADI認定ダイバーになることは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を抱える退役軍人、パラリンピアン、脊髄損傷を抱える人々などにとって、海中だけでなく日常生活にも大きな癒しと変化をもたらしています。こうしたダイバーを支えるため、PADIではインストラクター向けに障がいのあるダイバーへの理解を深め、個々に応じた指導技術を学ぶコースを提供しています。このコースを通じてPADIプロフェッショナルは、あらゆる人に対応できる柔軟で生徒中心の教育アプローチを身につけることができます。
PADIは、そのブランドの力と世界規模のネットワークを活かして、社会的・環境的インパクトを生む活動をつなぐ架け橋になっています。私たちは、PADIというプラットフォームを通じて、よりバランスの取れた、レジリエントな海の未来を目指しています。
PADIはこれまでも、そしてこれからも、「世界をより良くするために貢献する」という目的を誇りに掲げ続けます。今こそ、トーチベアラーとして共に立ち上がり、よりよい地球の未来のために声を上げ、行動していきましょう。健やかで安全な地球を実現するためには、私たち一人ひとりの力が必要です。

